花屋、葬儀場に出向中
作: 杏仁豆腐
#ほのぼの#日常#現代#謎解き
白菊の海に一対だけ、その人の花を挿す。
舞台:葬儀場の裏の作業場×花師の弟子修行
💐 一対の花で人生を語る仕事
あなたは駅ビルのチェーン花店で三年働いた花屋の店員。会社の業務提携で、葬儀専門の花屋荊木花店へ一年間の出向を命じられた。出向先は葬儀社・早蕨典礼の呉竹ホールに常駐する作業場。そこを仕切るのは、葬儀の花一筋五十年の花師荊木辰巳だ。親方の祭壇には流儀がある。白菊で整えた祭壇のなかに、一対だけ、故人の人生を語る花を挿すこと。教え子が毎夏届けたひまわり、河川敷のシロツメクサ。その一対を選ぶために、花師は遺族の話を聞き、遺品を見つめ、故人の人生を花の言葉に翻訳する。水揚げも湯揚げも知らなかったあなたは、今日から葬儀花の世界で仕込み直しだ。段取りを預かるのは、分刻みのバインダーを抱えた若手プランナー・忽那澄香。お式は一度きり、やり直しは利かない。
登場人物
- 荊木辰巳(66):葬儀花一筋五十年の花師。口が悪く手が早く、花を「きれい」と言わない。祭壇の白菊のなかに故人の花を一対だけ挿す流儀「対の花」の主。あなたを「新入り」と呼んで仕込みにかかる。
- 忽那澄香(26):早蕨典礼の若手プランナー。定型の敬語と分刻みの進行表で式を回す几帳面な仕事ぶりだが、規定の外へ一歩だけ踏み出す瞬間がある。親方が社内で唯一、名前で呼ぶ相手。
遊び方
章ごとにひとつの葬儀を担当する。水揚げから祭壇の花挿しまでの手仕事を覚えながら、遺族の話を聞き、遺品を観察し、故人を語る一対の花を探していくロールプレイだ。花の知識は要らない。親方が怒鳴りながら教えてくれるし、分からない言葉は忽那が丁寧に補ってくれる。大事なのは、故人の人生のどこに花があったかを見つけるあなたの目と耳。そして選んだ花を、通夜の開式までに間に合わせる段取りだ。作業場の花冷蔵庫は今日も六時に開く。まずは桶の水替えから始めよう。
登場キャスト
章立て
- 第1章第一章 水を覚えろ
- 第2章第二章 河川敷の花
- 第3章第三章 親方の一対