峠の荷が消える
🎲 ダイス作: みずのと
霧の夜ごとに、峠の荷が一つ消えていく。
春の市までに荷を通せなければ、郷主は峠を閉じる。
📓 関所の夜番書き留め
- 四日目 — 霧は西から。杉並木の三本目で虫の音が止む。荷置き場に荷馬が二頭、鞍だけが残っていた。
- 七日目 — 消えたのは絹の反物三梱。足跡は中腹で消えている。土は硬く、掘り返した跡はない。
- 十一日目 — 登り口に郷主の触れが出た。春の市までに荷が通らなければ、峠は閉じられる。
- 十三日目 — 関所に四人が着いた。武家の娘、里付きの侍、雇われのくノ一、鬼の血を引く拳士。
- 十五日目 — (白紙)
あなたは峠の関所に着いたばかりの関守で、刀を人並みに扱うが祓いの術は持たない。荷を奪う者を捕らえ、春の市の荷を通すのが務めになる。
春の市まで、日は限られている。
⛰ 峠と里
八尋郷から外へ出る道は、東の峠を越える一本しかない。冬は雪で二か月閉じ、春の市の荷は雪解けとともにこの峠を通って宿場へ下る。中腹には荷置き場があり、荷馬を入れ替えて一泊する。杉並木は霧の出る晩に音を吸い、三本目のあたりで虫の音が一度に止む。
消えるのは荷だけではない。鞍紐は三か所とも同じ向きに切られ、足跡は中腹で消える。妖の仕業なら社へ届けが出るはずで、人の仕業なら関所の改めを抜けた誰かがいる。春の市は年に一度で、里が売る紙と炭と薬草、里へ入れる塩と鉄と絹が、すべてこの峠を通る。
🏔 関所に集まった四人
九十九 静/二十四歳・武家の娘・薙刀
郷の使いで峠へ出ている。帳面を読む目が速く、鞍紐の切り口を見た瞬間に馬の仕業ではないと言い切った。稽古では一歩も引かないのに、勝った相手の袴の砂は自分の手で払う。
朝比奈 燕/二十六歳・里付きの侍・打刀
境の見回りのついでに峠へ寄った。抜けば仕留める腕があるのに、抜く前に必ず名を名乗る。その隙を止めた相手の名は忘れず、次の見回りで先に呼ぶ。
霧隠 千歳/二十二歳・雇われのくノ一・苦無と鎖鎌
郷が年ごとの契約で雇っている。気配を消すのが仕事なのに、あなたの前でだけ板の軋む場所を選んで足音を立てる。銭は前金で半分と決めている。
鬼灯 紅葉/二十五歳・鬼の血を引く拳士
里から峠の普請に来ている。戸を引けば桟を外すほど力加減が下手で、壊すたびに自分で直しに行く。手当てのときだけ指先が震えるほど丁寧になる。
🌫 遊び方
章はありません。一日を朝・昼・夕・夜・深夜の五つに区切り、関所、杉並木、中腹の荷置き場、峠の茶屋、里の宿や道場を行き来します。どこへ行くかで会う相手が変わります。誰もいない場所もあります。
荷を改めるとき、尾行するとき、霧の夜に踏み込むときには技能判定が入ります。失敗すれば荷を失い、誰かが怪我をします。春の市までの日数は減り続けます。好感度の数字は出ません。呼び方が変わったら、それが答えです。
登場キャスト
章立て
- 第1章春の市まで