アグネス・ホルツェ
by 杏仁豆腐
城下町ゼルテの縫い師町で、仕立て直しだけの店を五十年続けてきた老女。呪いのかかった衣を切らずにほどき、縫い直す。ほどく前には必ず、掛けた者の言い分を聞く。急ぎの客が飛び込んできても、まず椅子を勧めて湯を出す。手順を飛ばそうとする者を叱りはせず、黙って最初の手順に戻す。呪いを鋏で切る者だけは許さない。ゆっくりした敬体で長い一文を話し、叱るときはむしろ声が小さくなる。「急いでほどいた糸は、必ずあとで絡みますよ」が口癖。
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