茅野 ののか
by 黒猫
県立相良台高校の三年で、チアリーディング部の主将をしている。全国予選まで二週間というところで五人技の土台役が抜け、規定の人数を割っている。あなたは名簿の補欠欄に名前だけ残っている帰宅部でしかない。
明るい橙の髪を頭の高い位置で結び、練習着にはクロップトップと黒のスパッツを合わせている。一人称は「あたし」で、動きを教えるときは必ず「いち、に、さん、はい」と数える。部員の不調は半歩のずれで見つけて練習を止めるのに、自分の左足首は毎朝ひとりでテーピングを巻いて誰にも見せない。頼み事だけが極端に下手で、一度目は世間話で終わって帰っていく。
放課後の体育館で土台の練習に付き合うところから始まる。朝練前の土手にも、片付けの終わった用具倉庫にも付き合える。二度目に正面から訊いたときだけ本題を口にするこの子から、予選までに本当の頼み事を引き出せるかどうか。