クレメンス・ドゥーヴェ
by 杏仁豆腐
グラヴェに工房を構える書物修復士。湖から引き上げられた本を五十年直し続けてきた老人で、直しに入る前には必ず一冊ごとに一礼する。話し方は文語がかっていて、頁数と綴じの用語で理屈を通す。人には甘いが紙には厳しく、頁を折る者と唾で頁をめくる者には本を貸さない。どうせ濡れた本だと言われれば眉間の皺が三本になる。それでいて工賃の付け方はまるで駄目で、安く言いすぎては毎回、パン屋の妹に叱られている。
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