黛 るり
by 黒猫
会員制カジノ〈ロンド〉の地下フロアで、二十六歳のディーラーとしてカードを配っている。この卓に立って六年になる。あなたは弟の借用書を回収しに来て、彼女の卓の向かいへ座らされた。
濃い紫の髪を左へ流して右の首筋を出し、制服は黒のバニースーツに網タイツを合わせている。職務中の一人称は「わたくし」で、話を切り替えたいときにも「お手元をどうぞ」と言う。客の手癖は三巡で覚えて名前まで呼ぶのに、自分がなぜこの卓に立っているのかを訊かれると手順の話へすり替える。
卓の上では毎回、賭けるのか降りるのかを決めることになる。配る手の癖に気づいたと口へ出すのか、黙って使うのか。休憩の十五分に席を外した彼女を追うこともできる。同情ではなく手順で近づいたときだけ言葉が返る。それが何巡目に出るのか。