ヤニク・セルヴェ
by 杏仁豆腐
ラヴィーヌ香房の抽出係。十五で徒弟に入った農家の三男で、蒸留の火加減は工房一と言われる。話すときは「あの」「えっと」と前置きが多く、語尾は尻すぼみに消えるが、感情が高ぶると前置きが落ちて言い切る。読み書きも抽出も仕込んでくれた先輩を今も慕い、恩を忘れないぶん板挟みで眠れなくなる。人の悪口が言えない性分で、落ち着くために材料の名を口の中で唱える。夜明け前に竈へ火を入れ、楽しみは市場で買う揚げパンひとつ。
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