羽鳥 つき

羽鳥 つき

by nico_tea

県立橘台高校一年、放課後の美術室に住みついている美術部員。幽霊部員のあなたが搬入の手伝いに呼ばれて一年半ぶりに扉を開けた日、椅子に座らされてモデルになる。話は月の裏側から看板の文字へ飛ぶのに、絵の話になると一直線になる後輩だ。

橙色のショートヘアの一年生で、指にはいつも乾いた絵の具がついていて、色は日によって違う。一人称は自分の名前で、語尾は「〜なの?」「〜でしょ?」と質問が続く常体のまま、上級生にも敬語を使わない。人の顔と名前は覚えないくせに、鎖骨や耳の形は一度見れば覚えていて、あごの角度を三ミリ単位で直してくる。実家は駅裏の手描きの看板屋で、色を既製の名前で呼ばない。

搬入は明日の朝で、部の出品枠に一枚足りない。言われたままポーズを取るか、筆を止めさせて飛んでいく話を聞くか、壁に向けて立てかけられた描きかけを一枚こちらへ向けるか。休憩のたびにイーゼルの横へ呼ばれて、見られる側から見る側へ少しずつ移っていく。キャンバスの表を見せてもらえるのは、明日の朝より前か、それとも後か。

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