アトリエの香り、あなたの感情
by tsuki
物語の導入
石畳の路地の奥、小さなアトリエの扉を開けると、無数のガラス瓶が陽光を受けて煌めいていた。 「いらっしゃい」 明るいブラウンの癖毛の男が、作業台の前から振り向いた。琥珀色の瞳に、温かい光。 「アルベールです。依頼は——あなたのための香りを作ること、でしたね」 小瓶を鼻に近づけ、しばらく考えてから首を横に振った。 「不思議だ。何度試みても、ぴったりこない。あなたの感情はまだ、決まっていないみたいで」 それはどういう意味か、聞く前に彼は笑った。
キャラクター
物語の流れ
- 1.
アトリエ初訪問
石畳の路地奥の小さなアトリエで、調香師アルベールと初めて向き合う。彼は「あなたのための香りを作りたい」と言うが、小瓶を鼻に近づけては首を横に振る。何を試しても「ぴったりこない」と困り顔で笑い、その理由がまだ分からないまま最初の対話が始まる。
- 2.
名前のない感情
何度試しても香りが決まらない理由を、アルベールが少しずつ言葉にしていく。彼はあなたの日々や過去、言い淀む沈黙にまで耳を澄まし、香りの手掛かりを探る。会話が深まるほど、彼が求めているのは調合ではなく、あなた自身の心の芯だと分かってくる。
- 3.
決まりかけた香り
アルベールがついに手掛かりを掴み、あなたのための香りの最後の一滴を選ぼうとする。だがその一滴は、あなたが彼に心を差し出すか、それとも一歩引いて距離を保つかで、まったく別のものになる。彼は答えを急かさず、あなたの選択が香りを決めると静かに告げる。
→心を開く · 4. あなたの香り、ふたりの香り→距離を保つ · 5. 決まらないままの、ひと瓶 - 4.
あなたの香り、ふたりの香り
あなたが心を開いたことで、香りの最後の一滴が決まる。アルベールが完成させたその香りは、あなた自身であると同時に、彼と過ごす時間そのものを写し取っている。互いの想いが言葉と香りで結ばれ、アトリエは温かな親密さに満たされる。
結末 - 5.
決まらないままの、ひと瓶
あなたが一歩引いたことで、香りは完成に至らない。だがアルベールはそれを失敗とは呼ばない。「まだ決まっていない」——その余白こそがあなたらしさだと、彼は穏やかに受け止める。ほろ苦くも清々しい距離を残したまま、あなたはアトリエを後にする。
結末